ドキュメント高校中退を高校中退経験者が読んだ感想・レビュー

ドキュメント高校中退という本を読みました。

内容は結構衝撃的で、貧困家庭や複雑な家庭環境で育った子供たちが高校を中退し、親の貧困が子に引き継がれる、さらなる貧困の連鎖を生んでいることを考察した本です。

私は高校中退経験者ですが、納得できる部分とそうでない部分があります。

この本の内容は真実であることに疑いの余地はありませんが、あくまで高校中退の一部の真実でしかありません。

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高校中退経験者が「ドキュメント高校中退ーいま、貧困がうまれる場所」読んだ感想


まず簡単に本の内容を紹介します。

ドキュメント高校中退は貧困と高校中退を考察した本です。

親の離婚、DV、ネグレクト、貧困といった環境で育ってきた子供たちは文化的な体験をすることなく成長し、九九が出来ない、分数の計算が出来ないといった、小学校低学年レベルの学力で底辺高校に進学。

惰性で入学してきた彼らは学費が払えなかったり、そもそも学ぶ意欲がない、非行を繰り返す、十代での予期せぬ妊娠などの理由で、間もなく高校を中退します。

その後は水商売や風俗、建築関係の日雇い、アルバイトといった限定的で労働環境が悪い仕事にしか就けず、学歴の面からも差別を受けて、さらなる貧困に苦しんでいく、というもの。

で、その感想

この本を読んでみた総評です。思うところが2つ。

  • 本の内容は事実だが、高校中退の全てを網羅している訳ではない
  • 高校中退の原因が貧困だけにあるわけではない
  • 高校中退の現実は厳しいことは確かだが、きちんと立ち直る例もある

この本は高校中退の全てを浮き彫りにしている訳ではありません。

高校中退と一言で言っても、どの観点からどの切り口で、どの比較軸を用いて考察するかによって見え方は全然違います。

この本における考察は、「底辺高校における、貧困を切り口にした高校中退」です。

高校中退の現実は確かに生易しいものではありません。しかし、この本に書かれていることが高校中退した全ての人に当てはまる訳ではありません。

高校中退から立ち直って社会的自立を果たしている人もたくさんいますから、あまり悲観的にならないでほしいというのが正直な感想です。

私も高校中退経験者ですが、大学に進学して卒業し、一般企業に就職して今では結婚して普通に暮らしています。

そういう例もあるということを頭の片隅入れてほしいと思います。

高校中退ドキュメントのメインテーマはむしろ「貧困」の方

この本を読んだ方の多くが勘違いされていると思うのですが、「高校中退の背景には貧困がある」と受け取るのは間違いです。

正しくは、「貧困家庭の出身で、複雑な家庭環境で育ち、小学校低学年レベルの低学力しかない生徒が底辺高校に入学すると、高校中退率が非常に高くなる。その結果として貧困の連鎖を生んでいる」というのがこの本の正しい趣旨です。

貧困は数ある原因の中の一つに違いありませんが、それさえ解決すれば高校中退がゼロになる訳ではないからです。

原因(貧困)と結果(高校中退)が逆です。

貧困(原因)を基準に高校中退(結果)を考察するのは理に適っていますが、高校中退(結果)を基準に貧困(原因)を語るのは論理的ではありません。

この二つには相関関係は確かにありますが、因果関係とは違います。

この本でカバーしているのは高校中退の半分だけ

高校中退には大きく分けて二つあって、高校中退を乗り越えるか、そのままドロップアウトしていくかに分かれます。この本で紹介されているのは、あくまで前者に限った話です。

高校中退から立ち直るか、そのまま貧困に苦しむか。

その別れ目になるのが、親の経済力や教養、子供の教育への関心度、そして子供自身の生きる意欲です。

「立ち直る高校中退」と「立ち直れない高校中退」

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立ち直りが多い高校中退には、こういう特徴があります。

  • 子供自身が勉強、社会的自立への意欲を捨てていない
  • 高校を中退してからの別の進路を考えられる親の経済力がある
  • 心理的、経済的な親のサポートがある
  • 親が子供の将来を心配し、高校中退に強く反対している
  • 子供自身が高校を辞めることに対し、強い挫折感と情緒不安がある
  • 中退後の進路先に関する情報収集力がある
  • 中退後に学業で立て直す他の選択肢があることを親も子も知っている

こういう条件下での高校中退は、通信制高校や定時制高校、高卒認定試験を受けたりして高卒資格を得たあと、専門学校や大学に進学します。

中退後にしばらくアルバイトなどで仕事をしていて、自分の限界を感じて勉強をやり直すケースも多いです。

あるいは、手に職をつけて職人になったり、資格をとったり、専門スキルを磨いて社会的自立を果たします。

一般企業に就職もできますし、なかにはハングリー精神の塊のような人が事業を興して成功を収める人もいます。

当然、全員が全員こうなる訳ではありませんが、相対的には高校中退経験者であっても、その後はしっかりと社会的自立を果たしている人が多いと言えます。

当サイト、不登校ナビで取り上げているのはこちらの方

当サイトではこちら側に位置する親の方々を対象にしています。

子供が社会的自立を果たすために、子供の苦しみを分かち合い、時間がかかってもしっかりと立ち直るために親がすべきサポートは何か?を私の少ないながらの経験を基に紹介しています。

経済力に関して自信がないという方もおられるかもしれませんが、少なくともインターネットで検索して当サイトにたどり着いている時点で、あなたがいかに子供への教育の関心の高いかを証明しています。

インターネットの特性上、欲しい情報を自分で選んで取りに行くというものがあります。

自分が必要としない情報は、SNSでない限りはめったに目に入りません。

そのため、子供の教育に関して関心のない人は、絶対にこのサイトにたどり着くことがありません。

あなたが当サイトにたどり着いているということは、お子さんの教育や将来に強い関心がある何よりの証拠です。

この本の不登校は当サイトの不登校とテイストが異なる

この本にも、不登校に関して色々な記述があります。しかし、当サイトで取り上げている不登校とは意味合いがかなり違います。

高校中退ドキュメントでは、経済的理由で学校に来れない人も不登校ですし、非行、暴力、万引きなどの警察沙汰と頻繁に起こす生徒(いわゆる不良、ヤンキー)も30日以上の欠席という条件で不登校に分類しています。

当サイトのような、「学校に行きたくても行けない」とか「人間関係のもつれや周囲との考え方の違いによる情緒不安」、「学校にいけない自分への強烈な罪悪感と自己否定」といった不登校とはかなり違います。

不登校という言葉は同じでも、意味合いが全く異なるという点は注意が必要です。

貧困を抜け出せず立ち直れない高校中退の実態

一方、高校中退後にそのまま貧困に苦しむ人はこういう環境条件があります。

  • 親が子供の教育に関して無関心
  • 子供が高校を辞めることに強く反対していない
  • どうせ高校を辞めるんだったら早い方がいい
  • 高校中退か、働くかのどちらかしか(親、子供の頭の中に)選択肢がない
  • 経済的に他の学校に通うのは困難
  • 子供本人が将来の人生に対する意欲を持っていない
  • 親や家族の愛情が少ない複雑な家庭環境で育った

このような環境での高校中退は、ドキュメント高校中退で紹介されているような、貧困の連鎖を生みやすいと言えます。

私の友人にもこのタイプの高校中退者がいて、確かに親との関係が希薄です。成人してからは実の親とも疎遠になっていたり、ほとんど会うことはないと言っていました。

仕事は真面目にやっているのが救いですが、本人曰く勉強も苦手で、中卒の学歴と今のスキルでは良い労働条件の仕事に就くのは難しいとのことでした。

同じ高校中退なのに、真逆の道に進んでしまう。

どちらの道に進むかを分けるポイントは、ズバリ親の教養、教育水準、経済力、そして子供本人の意欲です。

だからこそ、子供が不登校や高校中退で苦しんでいる時に親のサポートが何より重要ですよ、というのが当サイトの趣旨です。

まとめ

高校中退に関して詳しく知りたいという人は、この本を読んで損はしません。この本に書かれてある内容は確かに、真実です。

しかし、その真実は「限定された範囲内での真実」に過ぎませんから、高校中退者すべてがこの真実に当てはまる訳ではないですよ、ということ。

この本の内容は知っておいて損はないですが、全員が全員悲観することはありません。

私のように、「あのとき高校中退してよかったぁぁ!!!」と本気で思っている人は腐るほどいますから!


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