この記事では、高校生での不登校の原因としてよくある事例を紹介します。
高校生の子供に学校に行けない理由を聞いても、子供が話してくれないこともあるし、子供自身も自分でなぜ行けないのかが分かっていないケースもあります。
また、それらしい理由を言ってはいるものの、本当の原因は全く違う所にあるかもしれませんし、ハッキリした答えが帰ってこない分、親がイライラして状況を悪化させることもあります。
高校生の不登校原因について
不登校の原因はその生徒の数だけある、と言われるほど多種多様です。傾向として多いのは、
- 高校の校風に馴染めない
- 人間関係のトラブル
- 無気力
- 複合型
の4つです。「校風に馴染めない」というのは厳しい学則だったり、進学校の偏差値至上主義的な考えだったり、あるいは課題が多く消耗の激しい毎日だったり、かなり広い意味での校風です。
「人間関係のトラブル」も多いですね。教師、担任、友人、先輩後輩、クラスメイト、部活動…高校の中での小さいトラブルがどんどん大きくなり、学校の中に自分の居場所を失ってしまった。最初は我慢していても、周囲の目もあり毎日が辛く、限界という事例は多いように思います。
また、「不登校で無気力に…引きこもりがちな中学生・高校生の原因と対策」でも紹介したような「無気力型の不登校」もあるし、「起立性調節障害とかの病気系」もある。
どれか1つだけではなく、「色んな理由が積み重なる複合的な原因」での不登校もあるし、高校生の不登校の原因というのは実に様々です。
高校生でも「理由が分からない不登校」は多い
子供に聞いても不登校の原因がわからない、あるいは本当に子供本人もなぜ不登校になったのか原因が分からないケースは実に多いです。その背景には、先程のべた複数の原因が絡み合う複合型の原因がひそんでいるのではないかと思います。
「学校に行けない理由がわからない」というのは親からすれば理解しにくいかもしれませんが、この事例は多いんです。
中学時代に私が経験したときのように、日々忙しい生活を送る中で慣れない生活、慣れない校則、慣れない人間関係にどんどん消耗していき、気づいたら精根尽き果て(いわゆるバッテリー切れ)て、不登校、というケースも多いです。
高校生年代に多い不登校原因は、学校の雰囲気に馴染めないこと
高校には校風というのがあります。勉強に熱心、部活動に熱心、規則が厳しい、緩い、課題が多い、少ない、教師の質も、そこに通う生徒の傾向も、高校によって全然違います。
なんとなくの成績で高校を選び、受験し、せっかく入学したは良いものの、高校の雰囲気に上手く馴染めず、入る高校を間違えたと考える高校生が多い。実は私もこういう理由で中退に至りましたし、校風に合わないというのは本当に辛い。
私の場合は偏差値の低い底辺校に入学し、厳しい校則などに馴染めずに苦労しました。進学校に入った場合でも、それが逆に合わなかったと悩む人もいますしね。
高校受験の時に背伸びして進学校に合格したのに、いざ入ってみると勉強についていくのに必死、成績は下の方でしんどい、勉強中心の学校にも馴染めないという問題を抱える生徒が多いからです。
進学校に多い高校生年代での不登校の原因
進学校でよく見られるのは、次の3パターンです。
- 今まで得意だった勉強が通用しなくなって自信をなくしてしまう
- 勉強中心で忙しい毎日に付いていくのに精一杯で消耗
- 偏差値至上主義の考え、校風に馴染めない
今まで得意だった勉強で結果を出し、周囲の人から尊敬・称賛を浴びていたのに猛者が集まる進学校に行くと何ら通用しなくなってしまった。その結果、自分の存在価値、人間としての価値、アイデンティティを見失って自分に対する自信をどんどん失っていく悪循環です。
欠席や遅刻が続いたせいで勉強に遅れてしまい、自分の居場所を失ったという話も聞きます。
勉強で周囲に遅れる自分、得意な勉強で恥をかく自分、あるべき理想の姿と大きなギャップのある現実の自分が許せず、激しい劣等感と自己否定を招いてしまう。
一度休み始めてしまうと教室には余計に戻りづらく、教室に戻ったとしても確実に自分を襲う劣等感、厳しい現実に恐怖し、かといって学校にはやはり行くべきという葛藤で、身動きがとれなくなってしまう。
進学校で不登校になる生徒は少なくありません。偏差値至上主義、課題の多い忙しい毎日に身も心も消耗する子供が多く、自分のペースで大学を目指せる高認や通信制高校に進路を変更する例も多いようです。
高校の厳しい学則で管理されるストレスから不登校に
偏差値の低い底辺校であったり、権威主義的な高校の場合は厳しい学則で生徒を管理しようとします。髪の長さを数ミリ単位で指摘したり、風紀や服装に関して厳しい規則を設けている高校も多いはずです。
私の通っていた男子校でも、指導と称して教師が生徒に思い切りビンタする(体操服を忘れたという理由だけで、しかも学年生徒全員の前で!)なんて当たり前だったし、もはや人間の教育機関というより、力で無理やり押さえつけるだけの”動物園”でした。
こういう環境にいると、いつ自分が標的になるだろうかとビクビクした非常にストレスフルな毎日を送る羽目になります。このような極端な校風に馴染めずに不登校、というのは原因としてはよくある話だと思います。
極端な校風で話題になった事例
2017年、大阪の公立高校で生まれつき髪の色が茶色い女子生徒に何度も黒染めを強要し、修学旅行に参加もさせない、名簿から名前を消すなどの極端な指導を行い、女子生徒は不登校になったニュースが話題になりました。
いきすぎた指導だと両親が訴えを起こしたことでニュースになり、その時の教師は「金髪の外人であっても無理やり髪の色を黒くさせる」とまで豪語したことが乗じられ、このニュースは世界中に飛び火、あまりにトンチンカンな指導に世界各国から大バッシングを受け、日本国内でも大炎上しました。
ここまで極端というのは珍しいかもしれませんが、いきすぎた校風が発端となった不登校の事例です。ここまでくると不登校になる方が正常、高校側のほうが異常ですけども…。
高校生の不登校の原因は実に様々
高校の校風に馴染めない、人間関係トラブル、無気力、複合型など実に様々な原因があります。特に多いのは校風に馴染めない、あるいは人間関係トラブルでしょうか。
原因を突き止める事ができれば良いのですが、原因がわかっても解決が難しい場合もあるし、そもそも原因がわからないケースもあります。
思い当たる節があって具体的に対処できそうであれば良いのですが、どうしても学校に戻るのが難しかったり、留年や中退が見えてきたときは、進路変更も視野に入れなければいけません。