不登校の中学生や高校生が海外留学。いきなりそんなことを聞かされると「いやいや、そんな海外留学なんてうちの子には無理」と思われるかもしれません。
しかし、不登校で日本の学校に馴染めなかった子供が海外へ飛び出す例は少なくありません。
実は私も2週間という超短期間ではあるものの海外へホームステイをしたことがあります。その経験があったから、とは言いませんが実に大きな学びを得た貴重な経験でした。
復学・復帰・立ち直りへの劇薬?中学生で不登校だった私の海外留学
英語なんて全く話せないのに海外留学なんて絶対無理!と思われるかもしれませんが、たいていの人はその状態で海外へ飛び立っているのも事実です。
私も、2週間という短い期間でしたが英語はほとんど話せず、学校の英語のテストも散々な出来でしたが、人間なんとかなるものです。
不登校の状態にある子供と海外留学は思った以上に相性がいいように思います。その理由は以下の点。
- 自分のペースで考え進める主体性が海外では尊重される
- 自分自身の選択が可能で日本のような一律横並び教育ではない
- 不登校という問題は日本の小さな地域の狭い問題でしかないが、世界はもっともっと広い
- 自分自身を追い込んで小さな成功体験を積み重ねて自己肯定感を得やすい
まぁ簡単に言うと、日本の学校に馴染めない人ほど個人の存在や選択が自由に尊重される海外の方が案外なじみやすいから、とも言えます。
不登校の子供は思考力があり、自分自身や物事についてしっかり考える人が多いです。
そのため、日本のような一問一答や答えがある勉強ではなく、答えのない問いにチャレンジすることの方があっているのかもしれません。
中学生、高校生で不登校から海外留学への一般的な見方
中学生と高校生とでは、不登校からの海外留学と言えど意味合いが少し違います。留学期間も大きな幅がありますし、留学に何を求めているかによって内容も異なります。
一般的には、高校生の留学は比較的長期で、むこうの高校を卒業して帰国後に帰国生入試での大学進学を見据えるのが一般的です。

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中学生での留学は私のような旅行気分で短期留学を通して様々な事を経験しに行くものもあれば、あちらの学校に長く通って帰国するもの、あちらの高校にそのまま進むものなど形態は様々です。
留学先は英語圏が一般的で、カナダ、アメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなどがメジャーです。
特にイギリスは教育水準が非常に高い国なので、日本でもレベルの高い高校に通っていた人や勉強が比較的好きな人には向いているでしょう。
高校生が進学校で不登校に…留学先で自信を取り戻す例
よく高校生の不登校で進学校に通っていながら学校に行けなくなるというケースがあります。
高校では留年制度があるのでいつまでも学校に行かないままという訳にもいきませんし、そのタイムリミットが逆にプレッシャーになってしまい、生徒自身が自分を追い詰めて状況を悪化させてしまうことも少なくありません。
進学校で不登校になると通信制の高校への転校や高認試験を経ての大学受験なども選択肢に入りますが、生徒自身がプライドが高く周囲の目を気にして、それらの道を受け入れられない場合もあります。
こういう生徒には、海外留学という大義名分における高校中退が出来ること、周囲の目も気にせず、そしてプライドを保てたまま新たな道で再スタートが切れること。
さらに帰国後に帰国生入試で難関大学へ比較的容易に入学できる点などが受け入れられやすいことが大きなメリットになります。
そのため、不登校での留学は中学生年代の子供よりも高校生年代の方が長期で本格的になる印象です。
そのため、留学を斡旋するエージェントのサポート体制も非常に充実していて、現地の学校との連携はもちろん、子供のケアとサポート、そして日本にいる両親への報告など細かいサポートにも対応しています。
2週間の超短期留学でも学ぶべき事柄は非常に多かった
中学生年代における海外留学は現地の学校にそのまま通うケースもあれば、2週間~一か月、数か月~半年、年単位の留学などプランは実に様々です。私の場合は2週間の短期で、留学というよりはホームステイをする旅行気分のプチ留学程度の内容でした。
当時の私は日本の公立中学校で不登校でしたが、変化を求める私に両親がオーストラリア留学を用意してくれました。
それまでは学校に行けない自分が情けなく自分を責めたり、自己否定したりと自分自身が嫌いで嫌いで仕方ありませんでしたが、暇を持て余し現実逃避も兼ねて外に飛び出したい衝動に駆られていたのだと思います。

By: Shane Global
行く直前は「やっぱり行きたくない」と言わんばかりのビビり様でしたが、いざ留学に行ってみると本当に来てよかったと思いました。
いかに自分が狭い世界でウジウジ悩んでいたのかを思い知らされ、世の中はもっともっと広く、自分の知らない世界と景色、光景が目の前に広がっていることに衝撃を受けました。
ホームステイ先が牧場を運営している田舎の家だったので、自然が多く景色が雄大でホストファミリーの人柄が皆よかったのも運が良かったと思います。
現地での生活は正直なんとかなる
英語は全く話せんでしたが、身振り手振りや単語のつなぎ合わせ、電子辞書を使った会話や英会話の本を介しての会話でなんとかなりました。
この留学はツアーのようなもので、英語が話せるツアーガイドのような方がいて日常の困ったことを細かくサポートをしてくれましたし、何より他の同年代の参加者と打ち解けられたのも大きかったです。
それまでは自分ひとりの世界で部屋に閉じこもっていましたが、やはり同年代で何でも話せる友人が出来たというのは大きな変化でした。
いかに人との関わりが大切で、自分一人では決して生きられないことも思い知らされました。
自分で留学してみたいと言っておきながら直前になって足がすくみ、ドタキャンしようかと本気で思いましたが、むこうで得られたものは当時の私にとってとても大きかった。
そして、頭の中で1人あれこれ考えて悩むだけでなく、きちんと勇気をもって行動を起こす大切さも学びました。
※私の海外留学時の経験や学んだことの詳細は「経験者の体験談:改善から復帰、克服のきっかけと再登校」の記事で紹介していますので、そちらも参考にしてみてください。
留学に何を求めるかは人それぞれだが選択肢としてはアリだと思う
留学に行けば今悩んでいることからすべて解放されて解決できるわけではありません。ただし、その逆の「日本の学校ですら上手くいかなかったのに、海外の学校なんて上手くいくはずがない!」という意見にも同意しかねます。
人間、自分が思っている以上に追い込まれるとなんとかなるものです。
不登校経験者の留学に必要なのはよく言う適応力や語学力、積極性などではありません。
本当に必要なのは「留学に行きたいという本人の強い意思」と「本人の健康」と「少しの勇気」だけです。
当然、お金のことが絡んでくるので誰にでもできることではないと思います。
ただ、状況が整っているのであれば、さらに留学で子供の問題を解決できる見込みがありそうなのであれば、不登校からの海外留学は検討してみる価値が十分あると私は思います。