青木光恵作の漫画「中学なんていらない」の感想

中学生から学校に行けなくなった不登校の一人娘が、いじめをきっかけにふさぎ込み、塾の助けを借りながら見事に立ち直り、そして最後には志望校だった高校合格を勝ち取るというお話の漫画です。

同じ不登校を題材にした棚園正一さんの漫画「学校へ行けない僕と9人の先生 (アクションコミックス)」は子供本人からの目線で描かれたお話でした。

今回の「中学なんていらない。 不登校の娘が高校に合格するまで (メディアファクトリーのコミックエッセイ)」は不登校の一人娘を持つ母親からの目線で、夫と協力しながら娘を支えていく様子が事細かに描かれています。

すごく心温まる作品で、シリアスなシーンがなくほのぼのとした雰囲気で不登校からの克服事例を見ることが出来る素晴らしい漫画です。

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不登校の子を持つ親にも本人にも読んで欲しい!青木光恵さんの漫画・「中学なんていらない」

子供の不登校は子供だけの問題ではありません。母親も父親も、その当事者だと私は思っています。

この作品では娘の不登校に立ち向かうために家族皆で協力し、親が添え木のようになって子供を支えていく様子がしっかり描かれています。

不登校をすぐに解決する魔法のHOW TOは一切ありません。

しかし、両親が子供の不登校の当事者として最大限に愛情を注いで、高校合格の為に奔走する姿はすごく良い見本になると思います。

何より素晴らしかったのが、選択できる高校選びの段階で、難しい局面に王宮しても親が子供にどこに行くかを一切強制しなかったこと。

子どもと一緒に見学に出向き、子供が目で見て感じで、最終的な決定も子供自身に行わせたのは親として素晴らしいことだと思います。

世間体をほとんど気にしないという母親(作者)の性格はあったにせよ、損得勘定抜きで子供にすべての決定を任せるのは容易ではありませんからね。

信頼できる存在は思いっきり頼って、信頼出来ない所は思い切って切り捨てよう

不登校の解決や克服は色々な道筋があります。今回扱われていた事例も数ある解決事例の中の一つに過ぎません。

この親子にとっては頼りになる存在が塾で、学校の対応に不信感を募らせる様子が描かれていますが、逆の場合もあると思います。

また、比較的大きな塾でなくてももっと規模の小さい個人塾や家庭教師、さらには学校が頼りになることもあるでしょう。

いずれにしても、自分たちが置かれている状況の中でストレッサーになり、信頼出来ない存在と心から信頼できる存在がどこになるのかは、人それぞれによって違います。

信頼できる所はおもいっきり信頼し、頼りない所は斬り捨てるぐらいがちょうどいいです。

私が不登校だった時から高校進学までの時には、当時通っていた町の小さな個人塾も学校も親身になって対応してくれる心強い存在でした。

私の場合は非常に運が良かったのかもしれませんが、必ずどこかに信頼できる人達は居ますので根気強く探していくことがとても大切です。

漫画なので悲壮感なく楽しく読めるが、それを批判の対象としない姿勢が大事

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娘が学校に行けなくなったという現実に悲観しすぎず、和気あいあいとやれるに越したことはありません。

漫画では明るい雰囲気で淡々としたイメージで描かれていますが、実際にはもっと息苦しく壮絶で行き詰まるような時期もきっとあっただろうと思います。

漫画ではこんなふうに書かれているけど、実際もっと苦しいんだ、もっと大変なんだ言いたくなる気持ちを抑えてみることです。

少しでも子供が明るく、家庭に笑いと暖かみを戻すにはどうすればいいか、という生産的な目線で漫画を見るとよりいいんじゃないかと思います。

不登校の親の対応の大事なポイントが作中に詰まっている

この両親がとてもえらいなぁと関心したのは、子どものために一切の妥協を許さず、さじを投げず対応してきたことです。

そして、子供の意志を最大限に尊重し、子供自身に自分の進路を選ばせたこと。

親は子供に元気で居てくれたらいいと思っていても、実際不登校が長引くと子供の将来が心配になります。

引きこもりにならないか、仕事はどうするのか、高校受験を考えると勉強は大丈夫なのか…。

こういったうっかり言いそうなこと、これを言えば親は楽になれるということを一切合切捨てて、根気強く粘り強く子どものために時間と精神を費やしてきたからこそ、その愛情を感じて娘さんも頑張れたのだと思います。

そんな葛藤を抱えつつも、子供のために最大限エネルギーを注いでいく様子は不登校の子を持つ親たちの模範的な姿です。

不登校の子供を「見守る」という様子が描かれている

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不登校の子供を見守るってどういうふうに見守ればいいの?と疑問に思うかもしれませんが、この漫画を見ると、「こんな感じでいいのか」となんとなく納得できると思います。

何も難しいことはしていなくて、当たり前のことを当たり前に、子供の元気と笑顔を最大限に優先すればいいだけの話です。

いじめに対する対応、もっとこうすればよかったという対応

また、娘が同じクラスの男子にいじめられて不登校になってしまいますが、その時に実際に小屋が行った対応も参考になります。

また、後々になって冷静に考えた時にもっとこうすべきだったという対応も掲載されているので、お子さんがいじめにあっていて親が同対応すべきなのか悩ましいという人も参考になるのではないでしょうか。

巻末に書かれた作者のあとがきが印象的


中学なんていらない。 不登校の娘が高校に合格するまで (メディアファクトリーのコミックエッセイ)

作品の巻末にある作者のあとがきの最後尾部分を引用してみます。

子育てにしんどくなった時に私はいつも、娘が生まれてきた時のことを思い出すようにしています。あのとき「生まれてきてくれて良かった!」って思いました。たいていの親がそう思ったことでしょう。

極端な話、もうそれで全てなんじゃないかと。それ以上は贅沢だと。

学校に通ってなくても行きていけるじゃん!良かった!行かなくてもいいよ!

まー、中学ぐらい行かなくなってなんとかなりますよ!

と、今なら経験者としてはっきり言えます。

なかなか渦中では思えないことなんですけどね~

中学なんていらない。 不登校の娘が高校に合格するまで (メディアファクトリーのコミックエッセイ)」P123より引用

いやぁ、納得。本当に納得。

これ以上なく納得です。

「こんな綺麗事、解決したからこそ言えるんだ」とツッコミを入れたくなるあなた、この台詞を心から言えるようにこれからなればいいんです。

不登校経験者であっても難得するんです、不登校の解決に至る本質は、上に挙げた言葉の中に詰まっていると私は信じて疑いません。


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