不登校の子を持つ母親や父親、あるいは学校関係者からすると理解に苦しむかもしれませんが、実は不登校の原因がわからないというケースは非常に多いです。
友人もそれなりにいるし、いじめを受けている訳でもない。嫌がらせや悪口、陰口に悩まされている訳でもない。それでも学校に行けないという子供は実に多いです。
親が子供にいくら学校に行きたくない理由を聞いても、子供が理由を言わないことが多いと思います。
親に言えない何か深刻な理由や原因があるのかと疑心暗鬼になりがちですが、実は子供自身も理由がわかっていないということが多いということを紹介します。
子供本人に原因や理由を聞いても明確な答えが返ってこない
親が学校へ行けない理由を聞いても、きちんとした答えが返ってこないことの方が多いと思います。
理由さえ教えてくれたら対処のしようがあるのにと親は思うでしょう。それか親に言えない理由、いじめなどが関わっているのかと心配になります。
しかし、実際の背景はもっと単純です。そもそも明確な理由が存在しないから理由を説明できないだけかもしれません。
この原因がないのに不登校になってしまう生徒を端的に言い合わらすと、「バッテリー切れ」、「電池切れ」という表現がぴったりきます。
つまり、それまでの日常生活をなんとか乗り切れていたけれど、小さなストレスや体力的精神的な疲れが積み重なって強まり、気が付いたらエネルギーを使い果たして動けなくなってしまうということ。
動けなくなってしまった状態が、つまり学校に行けない、不登校という状態になったという訳です。
最後の最後で精根尽き果ててバッテリーが切れる=学校に行けなくなる
友人もそれなりにいるし、勉強の成績も悪くない。部活動にも積極的に取り組んでいたのに、なぜ?とその状況を受け入れられない両親もいるかと思います。本人もなぜ学校に行けないのかわからず、余計に混乱します。
でも、実態は色々なストレス負荷に耐えきれず、足元から崩れ去っている状態とも言えますし、そもそもガソリンがなくなっている、あるいはバッテリーが切れている状態なんです。実際、私が学校に行けなくなった理由もこれでした。
本当に色々な事の積み重ね、複雑な絡み合いで結果そうなってこういう状態に陥ります。
そのため、子供自身がなぜ自分は学校にいけないのか、その理由を説明できないというのが頷けると思います。何せ明確な理由なんてないのですから。
強い登校刺激も効果を発揮しない
わが子が学校に行かなくなった様子を目の前にして、「学校に行かないなんて怠け」、「いつになったら学校に行くつもりだ」などと強い非難の言葉を浴びせたり、強引に引きずって学校に行かせようと最初はするでしょう。
本人は学校に行くと言って、前の日の晩はしっかり用意します。しかし、次の日の朝になると行けない。これはサボりでも怠けでもなく、本当に行くつもりで決意しているのですが、翌朝になるとやっぱり行けないのです。
玄関先でうずくまってしまったり、行こうという意思に反してなかなか体が思うように動いてくれません。
その当時の状態を振り返ってみると、何か体の中で回路がうまく繋がっていない感覚です。本当に、行こうと思っているのですが、やっぱり行けないのです。これがバッテリー切れです。
本人に聞いても原因がわからないのはこういう背景があるから
本人に「何か学校で嫌な事があったのか」、「何が原因で学校に行きたくないのか」と詳しく聞いてみても、はっきりした答えが返ってこないのはこのためです。
なぜなら、そもそも明確な原因などそもそも存在しないのだから、当然です。
私が中学生の頃に不登校になった時も自分でなぜ学校に行けないのかわかりませんでした。当然、理由も自分で説明できませんでした。
でも、今になって原因を振り返ると
「中学生として求められる生活を送るために努力してきたが、日々の生活を送る中でエネルギーを使いきってしまい、緊張の糸がプッツリ切れてしまった」というのが正解です。
朝早く起きて学校に通い、授業を朝から夕方まで受けて、部活を頑張って、家に帰って塾に行って、テスト勉強をして、点数が悪ければ色々言われ、部活でもクラスでも他人とうまくやって、試合に勝つために努力して…。
その生活からくるストレスに対処しきれず、ついに精根尽き果ててしまった訳です。不登校の子供に「学校へ行かなくてもいい」と言うのが大切なのは、心身のエネルギー不足を補うためでもあるのです。