本当は怖い小学1年生の感想レビュー/小1プロブレムと教育制度の疲弊

本当は怖い小学一年生という本を読みました。当初、この本は小学校と幼稚園、保育園との境目で起きる子供の不適応、親と子の接し方の問題、登校渋りについて書かれた本だと思っていたのですが、内容は少し異なっていました。

不登校についての本では全くないのですが、教育の在り方や親と子の接し方、現在の教育制度が今の子供にとって無理強いをしている疲弊した制度なのかがよくわかります。

言われてみれば当たり前のことでも、思考が凝り固まっているとなかなか見えてこない世界なので、不登校関連の本としても参考になることが多いと思います。

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本当は怖い小学一年生の感想レビュー/小1プロブレムは学校制度疲弊が原因か?

小学校1年生が授業中の教室内で勝手に歩き回ったり、騒いだりして秩序が保てなくなる問題を小1プロブレムと呼び、その問題がなぜ起きているのかを考察しています。

この小1プロブレムがそもそも起きている原因は、これまで学校以外の所にあると考えられてきました。例えば

  • 保育園や幼稚園での躾が行き届いていないから
  • 親の躾が家庭内できちんとできていないから

など。この考えを著者はバッサリ否定し、そもそも幼稚園や保育園では坐って授業をひたすら受けるという訓練や練習をしておらず、元気に遊びまわる生活からの変化が大きすぎる以上、子供がそういう反応を見せるには自然な事だと述べています。

さらに、そもそも子供がそういう反応を見せるのは授業内容はもちろん、集団で一斉授業を行い効率化された旧態依然の教育制度と、現代の子供が心の中で求めている者とが全く一致していないからだとも。

社会環境が大きく変化した現代の子供と親の過剰な期待

母親を対象に、自分の子供に対して満足しているか?という調査が世界規模で行われました。子供が小学校入学前の小さい段階で「満足している」と答えたのはアメリカで94.4%、スウェーデンで93.5%、タイで82.8%だったのに対し、日本では72%だけ。

子供の年齢が10歳~12歳になると、諸外国でも「満足」の割合は確かに減少するものの、それでも82%以上をキープ。それに対し日本では半分以下の48.8%にまで下落。

日本では親が子供に一切満足できていないという悲しい現実があります。しかもこの不況の世の中で先息が不透明な中、幼い子供は「親に気に入られる子供」と現実の子供の狭間で戦っています。

自己肯定感が小さく、自分を卑下する子供が多い

これは私が小学校の時でもそうでしたが、自分を卑下する子供が日本では多い。自分を価値ある人間だと思うか?という問いに、価値があると答えた子供の割合は、世界各国の中でダントツで日本が低いというのは、有名な話です。

自分なんてしょうもない人間と思い、親からは自分に満足してもらえない子供の立場は、結構苦しいですよねぇ。こういうストレスの行き場がなく、問題行動という形で表れているのかもしれないですよね。

日本の親は子供のことへの介入が激しく、自分で考える力が育たない

子供が自分で考え、失敗を繰り返しながら工夫する経験が、今の日本の教育の中では難しいというのは否定しようのない事実でしょう。

子供が意見を述べても、子供のくせにという見下した見方をする人だっていますし、親が勝手にそれを評価したり、別のこと比較したり、やる前から失敗すると答えを教えてしまったり。

「あれをやれ、これをやれ、これはダメ、なぜそんなことをする」など上からの介入が激しく、結局自分で考えるよりは指示を待つだけの方が楽になってしまいます。

指示待ち人間は自然に出来上がるのではなく大人が作っているだけ

最近の若い人は指示待ち人間だとかよく言われますけど、「自分で考えろ」「積極的に自分から動け」、「そんなこと自分で判断しろ」と勝手なことを言っておきながら「勝手なことはするな」と怒る無能な上司だって多いでしょ。

要は自分にとって都合よく動いてくれるコントロールしやすい人間を作ることが教育になっていて、子供自身の力や才能を伸ばすことと教育が結びついていないというのが、日本の教育の悲しい現実です。教育をする側の人間がもう一人の自分を作るために何かを教え込むことは、教育とは言いません。

本の後半は国の在り方などに言及

ほんの後半は個人的に話が大きくなりすぎて、ちょっとイメージがあまり湧きませんでした。ちょっと実現可能かというと、少し難しい一面もあります。

今の日本の社会環境と日本の教育制度の関係、諸外国の教育事例を参考に、教育の在り方、国や制度の在り方などに言及します。

後半は少し規模が大きくなりすぎて、各個人の家庭で考える内容からは脱線しがちですが、こういう考え方や理想を持つことは悪いことではありません。

(006)本当は怖い小学一年生 (ポプラ新書)


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