学校へ行けない僕と9人の先生を不登校経験者が読んだ感想

小学校低学年から中学生まで不登校だった作者が、自身の経験を元に描いた作品が「学校へ行けない僕と9人の先生 (アクションコミックス)」です。

作品の概要は、不登校の経験の中で感じた本人の苦悩、出会った様々な先生たちから数知れない影響を受けてきて、最後は見事に社会に出ていくというお話です。

漫画や絵を描くことに生きがいを感じてきた作者が、ドラゴンボールの作者として知られる鳥山明先生との出会いを通じ、生きる喜びを得て漫画の世界で生きていく大きなキッカケを作ります。単なる不登校の原因探しや対応の仕方に関する本ではありません。

そんな作品を、一不登校経験者が読んでみての感想を述べてみたいと思います。

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学校へ行けない僕と9人の先生の感想…絵で見るからこそ浮かび上がるリアルな教室

私も小学校時代に感じていた、大人への違和感、不信感、理不尽さなどいろいろ思い出しました。

そういえば自分もこんなことあったなァとか、そうそうこういうことが嫌でたまらなかったなァとか、「普通」にこだわらないと周囲からはじき出されるようなあの感覚…。

この作品の魅力は文字だけでは伝わってこない教室特有の臨場感と雰囲気を見事に絵で伝えてくれる所です。

子供がどんなところに違和感や苦しみを感じて、どんな気持ちで教室で過ごしているのか、最も理解しやすいのがこの作品だと思います。

私も学校が好きではなかったので、「学校に行きたくない」という気持ちは嫌というほど分かります。

この主人公のように、なにか理不尽で大きなキッカケに遭遇していたら自分も小学校低学年の頃に不登校になっていたかもしれないと、読んでいて思いました。

小学生の不登校の子供を持つ親に読んで欲しい

子供が訴える「学校が怖い」という感情を、大人が完全に理解することはほとんど不可能に近いです。

子供に見える世界と大人が見える教室の風景が同じであることは決してないからです。

親はどうしても「普通に学校に行って欲しい」と願いますが、子供が何に恐れ、普通であることにどれだけ苦悩しているのかが腑に落ちるように伝わってきます。

これを読んでいて、もしかすると自分が子供の時に感じた教室内に蔓延する理不尽さ、気分の落ち込みがリアルに蘇ってくるかもしれません。

〔参考記事〕→ 小学1年生の登校拒否対策/学校に行きたくない子供

子どもの世界にある”常識”と”集団心理”

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(大人の目には見えない)子供の世界にある生き辛さは子供にしかわかりません。

人から話を聞いても、文字でいくら情報を詰め込んでも、なかなか感覚レベルで理解するのは難しいと思います。

この作品の魅力の一つは、このような表現しづらい子どもの世界にある生きづらさを体現させたことでしょう。

「教室が怖い」、「学校が怖い」と言葉の意味は理解できても、子どもが訴える本当の意味を此の本を読むことで理解できます。

集団心理や子どもが感じる「普通」と「特別」を嫌というほど思い出させてくれました。

子供の正直な気持ちが至る所に見える

不登校の子供の気持ちがわからないというのは親の代表的な悩みです。

しかし、この作品の中にはそんな幼い子供の正直な心の声が、至るところに散りばめられています。

  • 本当はみんなと一緒でありたい
  • 普通でいたい
  • 褒められたい
  • 自分を見て欲しい
  • 自分を必要として欲しい
  • 自分の役割がほしい
  • 何かを変えたい
  • 生まれ変わりたい

出来事そのものは些細な事でも、子どもの心の中でどんな声があるのかを整理しながら読むと、より不登校に悩む子供の気持ちに共感してあげられるのではないかと思います。

普通であることを求める親の価値観が子どもを苦しめる

By: ajari

By: ajari

あなたにとっての「普通」とは何でしょうか。学校にいくという極めて当たり前のこともそれに含まれるかもしれません。

でももし、その普通を子供に要求することが子供にとっての最大の不幸だったとしたら…。

学校に行かなくても子供は充分に育つ。自分の時を振り返っても、今作品を読んでもそ痛感しました。

賛否両論あると思いますが、「普通」であることに本人が悩んでいる中で親が余計にそれを求めることで子供をさらに苦しませているのかもしれません。

不登校でも子は育つ!ことの本質は鳥山先生との出会いではない

この作品の主人公は、鳥山明先生との出会いといういわば特別な経験をしました。

巻末に鳥山明先生自身が記しているように、特例中の特例で彼に会ったとのこと。

つまりあの場を引き寄せた強運が彼にあったのは事実です。

しかし、今作品の出来事を「特別」で「自分たちには無理なこと」と割り切るのも違うような気がします。

もしその出会いがなかったとしても、彼は彼なりに自分の人生を上手に切り開いていったでしょう。

そう感じるのは、この作品を読んだ全ての人の感想だと思います。

「私は幸せものです」と巻末で言い切れる当たり、本当に立派です。

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不登校でも人は大きく成長できるんだと感じさせられました。

一番大切なのは、鳥山先生との出会いで人生が変わったのではなくて、「生きててよかった」という心からの喜びを子供に与えること。

不登校の子供を持つ親が見習わなければいけないポイントは、そこにあるのではないでしょうか。


学校へ行けない僕と9人の先生 (アクションコミックス)


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