文部科学省の発表によると、高校中退者数、高校中退率ともに近年は減少傾向にあります。
文部科学省が実施した調査の信ぴょう性がどこまであるのかはさておき、とりあえずは少子化の影響もあってか、高校中退者は減少傾向にあるということ。
当記事で参考にしているデータは全て文部科学省によるもので、特に「高校生の不登校・中途退学の現状等」を参考に、考察しました。※リンク先はPDFです
全国高校中退率と人数・その主な理由
調査対象は全国の国公私立の高校です。高校中退者数に関して調べていくと、平成2年度の12万人超をピークに下がり、平成22年度では55,415人まで減少しています。
ここ20年ほどで7万人ほどの中退者数が単純計算で減少したことになります。
高校中退率も減少傾向
昨今は少子化の影響もあって、子供の人数そのものが減っています。いくら高校中退者数が減少したとしても、中退する割合が増えているのであれば、様相は異なりますね。
全国の高校中退者の割合を調べていくと、平成8年度から平成13年度までが最も高い水準で2.5%。そこから減少し、しばらくは2%で推移したのち、平成22年度では1.64%まで減少。
高校中退者数、割合ともに平成に入ってから現在まで確実に減少していることがわかります。
全国で最も高校中退が多いのは大阪、次いで東京、神奈川、愛知、埼玉、兵庫
都道府県別に見ていくと、少しデータが古いのですが大阪府が割合、人数ともに最も多い数字となっています。
2007年度と少しデータが古いのですが、大阪府は当時中退者数が7457人(3.4%)。他の都道府県ではこのようになっています。
- 東京都:7212人(2.3%)
- 神奈川県:4210人(2.2%)
- 愛知県:3948人(2.1%)
- 埼玉県:3778人(2.2%)
- 兵庫県:3238人(2.2%)
以下、千葉、北海道、福岡、静岡となっています。このように見ると、だいたい大都市圏、つまり人口が多い都市ほど人数も割合も多くなっている印象です。
2013年度の大阪府の高校中退率は依然、全国ワースト
先ほど記したデータは2007年のものだったので、現在はどう変化しているのか調べてみると、2013年度でも依然、全国ワーストを維持していました。
下記記事を参考にすると、高校中退率が全国平均1.7%のところ、大阪では2.4%となっています。2007年度から数値は1%ほど減少していますが、依然として高い数値です。
高校中退の理由を明確に分類するのは難しい
不登校と同じで、高校中退の原因や理由を明確に分類することは非常に難しいです。
人数分だけの理由があるとも言っていいぐらいですし、おそらく教育現場で分類する立場にある先生たちも、どこに分類していいのか頭を悩ませながら、無理やり当てはめていると聞きます。
文部科学省による調査によると、「学校生活・学業不適応」と「進路変更」が最も多く、この2つだけで7割を超えます。
それ以外だと、経済的事情、学業不振、病気怪我、家庭の事情などが続きます。
不登校生徒が圧倒的に多いのが「学校生活・学業不適応」
私が高校を辞めた時もそうでしたが、高校生の不登校に多いのはこのタイプでしょう。
もう少し具体的な理由を持て行くと、多い順に
- もともと高校生活に意欲がない
- 授業に興味がわかない
- 人間関係がうまく保てない
- 学校の雰囲気が合わない
となります。一見、無気力系の生徒に思われがちですが学校の雰囲気や周囲の生徒と自分の考えの違いにより生まれるギャップに悩まされているタイプと言えます。
このタイプの不登校、高校中退はデータが示す通り珍しいものではなく、ここ最近特に多い中退理由となっています。