登校刺激の内容については、「不登校中の登校刺激の注意点」という記事で解説していますので、この記事では、その刺激の与え方とタイミングについて考えます。
まず重要な前提として、不登校の段階によって登校刺激の与え方は変わるということです。それはつまり、適切なタイミングで適切な登校刺激を与えないと、逆効果になる可能性があるということ。
まずは不登校にはどういった段階とタイミングが存在し、それぞれにおいてどのような登校刺激の与え方が望ましいのか、それについて考えてみます。
適切な登校刺激の与え方はタイミングの見極めから始まる
不登校克服までには段階があります。行き渋りの初期に行う登校刺激と、不登校が長期化して引きこもり状態にある場合の登校刺激とではやはり内容が異なります。
不登校の対応についての詳細 → 中学生に対する親の対応
内容は中学生の不登校をメインにしていますが高校生でも当てはまる部分が多いので参考になると思います。
また、この記事では便宜上その段階を3つの初期、中期、活動期に分類し、それぞれのタイミングで適切な登校刺激の与え方を考えます。
初期段階における登校刺激の与え方
初期段階での登校刺激で、親は行き渋りを見せる子供に対し、かなりキツイ対応をとるでしょう。
不登校にも様々なタイプがあり、学校に行きたくても体が思うように動いてくれずに行けない状態の子供にしてみれば、この強い登校刺激は辛いものです。
ただ、親としては放っておく訳にも行きませんから、ある種この強い登校刺激を行うのはやむを得ないでしょう。
中期段階における登校刺激の与え方
中期段階では学校に行けない状態が続いてしまい、高校生であれば留年のタイムリミットが近づく辺りです。
中学生であれば不登校で昼夜逆転、ネットとゲームばかりしている状態です。
見た目ではゲームやネットばかりしていても、本人はしっかりその現実を受け入れるためにいろいろな葛藤を繰り返しています。
難しい時期ですが、本人がしっかりその現実を受け入れない限り、登校刺激をしても刺激が逆効果になりがちです。
初期~中期時期における登校刺激
親として子供に伝えておきたいのは以下の5点です。これだけでも長期的な視野に立ってみれば充分な登校刺激になるのではないか、と思います。
- 今は学校に行かなくていいから、ゆっくり休んで欲しいこと
- 不登校は決して悪ではないこと
- 自分の将来については自分なりに考えておくこと
- 進路のことでどうすればいいかわからない、疑問があれば伝えて欲しいこと
- 決して1人で悩まず、相談してほしいこと
ひきこもりの状態で苦しんでいるのは親や家族だけではなく、本人も同じです。
学校に行かなければいけないとう自覚、あるいはこの状態から抜け出したいという意向がある限り、解決の見込みがあります。
その意向が完全に消え失せてしまうと、一気に長期化して解決がしにくくなります。
そのため、この段階では社会復帰したいという意向を消失させないための刺激を与えていると言えます。
したがって、親としてはその意向が強くなり始めた段階を決して見逃さずにしかるべき対応を取ることが、不登校解決に向けて極めて重要になります。
活動段階における登校刺激の与え方
中学・高校を問わず暇を持て余して、何をすればいいか本人もわからなくなる時期です。
何をやっていても進路のことや今の自分の状態のことが頭から離れず、いよいよ自分でも何とかしなければいけないと考え始めます。
中学生の不登校であれば、「暇やー」という言葉が出始める辺りです。
ここでは学校に登校させようと刺激するのではなく、フリースペースやフリースクール、適応指導教室の存在を教えてあげたりする程度でよいと思います。
中学生であれば保健室登校などの別室登校に行きだす子供もいますし、そのことを伝えてあげるのもいいと思います。
高校生であれば、留年から新学期になるタイミングに向けて準備をしたり、中退してしまったのであれば通信制の高校や高認試験の存在、サポート校など、まだまだやり直しが効くことをそれとなく伝えましょう。
進路に関しては本人もどうにかしなければいけないことを自覚していますから、それを小さく刺激しては反応を見るのがいいと思います。
本人が行動の意思を見せ始めたら、GOです。
学校に復帰する段階での登校刺激
3段階にプラスして最後の段階を補足しておきます。
この段階は人によっては学校に復帰することであったり、ある人では進学、ある人は転校など、様々な形があります。
それを前提にしつつ、中学生の学校復帰を例に説明していきます。
本人が今の現状に対し、なんとかしなければいけないと思っているのかどうかは親であればわかると思います。
本人が「学校に行く」と言い出せば、それをサポートしてあげるといいと思います。決して無理強いはせず、本人の意思であることが重要です。
本人が嫌がらなければ学校近くまで車で送ってあげたり、まだ不安が強いのであれば途中まで行って帰ってくればいいなど、逃げ道を作ってあげるのもいいかもしれません。
(ここで言う逃げ道とは、また駄目だったという挫折を感じさせないために、以前と比較して大きく進歩していることを伝える意味合いでの逃げ道です)
また、一度復帰しても今日は学校に行った、今日は行けなかったと周囲の人間が一喜一憂してはいけません。
本人にしすればこれほどプレッシャーに感じることもないので、落ち着いて焦らずに見守りましょう。最初の段階は疲労がたまりやすいので、行ったり行かなかったりが続くと思いますがこれだけでも大きな進歩です。
どの段階においても重要な登校刺激の与え方
私が思う登校刺激の最も重要なポイントは、以下の2つです。
社会復帰したいという意思を捨てさせずに本人の中で育てていくこと。
その意思が強くなった段階で親がしっかりサポートしてあげること。
つまり、家に引きこもっている状態が本人にとってベストな訳がありませんし、それは本人も承知しています。
その状態を脱出したい、脱出すべきという意思をしっかり本人の中で持たせ続けられれば、ほぼ確実に不登校は解決します。
逆に、長期化しすぎてもう自分なんて無理、学校に行こうとも思わない無気力状態になってしまうと解決が一気にしづらくなります。
そのために、社会復帰の意思と持たせ続けることと、その意思が出始めた時にサポートしてあげることが、長い目で見た時に登校刺激だったといえるのではないでしょうか。