不登校で学校に行けなくなると、思い切って転校するという選択肢もあります。不登校の子供を持つ親であれば、出来る出来ないは別として一度くらいは頭に浮かんだことがあるのではないでしょうか。
不登校で転校することで最も重要なことは、きちんと本人も含めた話し合いと入念な準備が行われているかどうかです。
ただやみくもに転校しさえすれば問題が解決できると思っているのであれば、非常に危険です。
不登校で小学校や中学校を転校するという選択肢はアリかナシか
個人的には不登校からの転校はありだと思います。
ただ、先ほど述べたとおり入念な準備と対策がないと逆効果になります。そして、入念な準備なき転校はある意味、博打に過ぎません。
つまり、一か八かの様相を呈し、もし転校先でもダメだったらという可能性を考慮していなければ、あまり得策とは言えないでしょう。
小学校や中学校の転校は学区の問題があるでしょうし、その地区で今の家に住んでいながら転校できるかを確認することがまずスタートです。この確認が取れていて、転校は問題ないという前提で話を進めます。
さらに、高校生の場合は定時制高校、通信制高校、全日制の高校への転校もあり、さらに高卒認定試験の存在もあります。そういった考えられうるすべての選択肢の中で転校を検討している前提で話を進めます。
では、不登校の子供が転校を考える際に注意しておきたい項目は何があるか、考えてみましょう。
望んでいる状態にするためには転校という選択肢が本当に有効か
今通っている学校で不登校になり、そこから別の学校へ転校するということは、そもそも本当に有効なのか、です。
不登校の解決は必ずしも学校復帰ではありません。
本人が望んでる場所があって、てそこに居場所があって、将来自立して他者との関わり合いを持てるようなコミュニケーションを学べる場所なのであれば、別に学校ではない適応指導教室やフリースクールでも私はいいと思います。
高校生であれば、無理に全日制の高校に行かずとも通信制や定時制の高校もあります。大学進学を見据えているのであれば、そこでがっつり勉強すれば最終学歴は大卒ですし、レベルの高い大学への進学も十分考えられます。
本人が将来的にどういう姿になっていたいのか、どの時点でどういう状況になっていたいと思っているのかを家族で確認し、そのために転校が本当に有効なのかを確認しておいた方がいいでしょう。
転校以外の選択肢はないか
例えば、進学校に通う生徒が不登校になってしまった。でも高校は卒業していい大学には行きたいと思っているとします。
ならば高卒認定試験でもいいし、海外留学を経て帰国生入試で進学する手段もあります。
世の中にはいろいろな道筋や手段があります。転校しかないとそればっかり考えていると他の選択肢が思い浮かばなくなりますが、案外それ以外にもいろいろな手段があります。
転校しかないのか、他の選択肢はないのか、もう一度振り返ってみてみると、案外他の選択肢の方が魅力的に映るかもしれません。
今の学校で抱えている問題が本当に転校で除去できるのか
不登校から転校ということは、今通っている学校でなんらかの問題があることでしょう。
その問題は転校先で除去できるものでしょうか。
除去できる可能性があるが、再燃する可能性もあるのであれば、本人は転校先で問題を抱えないようにするための努力と意思をもっているでしょうか。
いじめが原因で転校したけど、転校先でもう一度いじめにあってしまったとなれば泣くに泣けません。
転校先の雰囲気や情報を加味しながら、今抱えている問題と転校という選択肢がどうかかわっているのか、親なりに、子供なりに整理して理解しておくに越したことはありません。
転校先の学校の情報はどの程度得ているか
転校先の学校に何を求めていて、何を得られそうか、どんな変化が起こせそうか。
転校先でも、ある程度協力は仰ぐことになると思います。きめ細かい対応をしてほしい場合もあるでしょうし、そうでない場合もあるでしょう。
協力が必要な場合は、どんなことを望んでいて、どこまで対応してくれそうか。
最初から細かい要求ばかりは出せないでしょうが、ここら辺を曖昧にしてしまうと子供にとってもよくないでしょう。
事情をどの程度話すか、転校先の学校の情報をどの程度理解しているかも当然大事です。
本人が転校することを本当に強く望んでいるか
最も重要な事です。子供自身が転校を強く望んでいるかどうか、本当にその学校に行きたいと言っているかどうかです。
親主導の転校はあまりお勧めしません。子供も一人の人間ですし、子供には子供の人生があります。
子供は親の所有物ではありませんから、子供の意思を尊重するぐらいの方がちょうどいいと思います。
不登校で転校したのに転校先でも不登校
不登校からの転校で最も懸念されることは、転校先でも不登校になることです。
せっかく学校を変わったのにまた同じ状態になってしまうと、打つ手がなくなり途方に暮れてしまいます。
さらに、不登校を繰り返すということは子供にとっても大きな挫折です。
両親や周囲の大人をこれだけ巻き込んで転校したのに、また学校に行けなくなると、自己否定の度合いが非常に強まりますし、強烈な失敗体験(トラウマ)として背中に重くのしかかります。
ある程度の失敗は子供にとっても必要ですし、許容される範囲内であれば構いません。
しかし、このケースでは極力避けるべき失敗です。最悪の事態を避けるためにも、やはりここで挙げたような事柄をしっかり話し合うのがベストだと思います。