長く不登校状態にある小学生でも、日本の義務教育では間違いなく卒業できます。大半のケースでは欠席日数と成績を問わず卒業を認める措置をとることが現状では大半です。
しかし、法律上は校長の判断で留年措置をとることも可能といえば可能であり(現在はほぼ完全に形骸化)、そのまま卒業させずに特別な対応をとることも非常に稀ながら存在することも事実です。
長期化した不登校状態の小学生の卒業と中学進学を巡る対応
この記事では卒業を巡る対応について紹介しますが、不安を煽るつもりは一切ありません。
そして、これから紹介する対応は全国的にも非常に稀なケースであることを明記しておきます。
Wikipediaの原級措置のページで書かれている項目に、長く不登校の状態だった子供に関して埼玉県川口市にある小学校の対応が書かれています。以下引用。
近年ではひきこもりになった子供が数年に渡って通学しないにも拘わらず進級させており、その子供がのちに小中学校に通おうとしても、かなり困難なものとなってしまう。中には小学生でひきこもりになり、中学校に一日も通っていないのに、中学校を卒業させる事例すらある。
なお、2003年3月に埼玉県川口市の公立小学校では不登校児童6年生2人について、校長が「責任を持って卒業させられない」として卒業認定を留保し、春休みに校長室などで6日間の補習を受けさせ、テストでまずまずの成績だったことを受けて3月31日に卒業を認めた例があったが、校長は「小学校終了の力があるかどうか分からないのに、中学校に丸投げするのは無責任と問題提起したい。できれば一緒に卒業させたかったが、補習に来なければ卒業させない選択肢もあった」と取材に応えており、成績不良の留年を示唆していた。
Wikipedia-言及措置より引用
2003年の出来事ですが、こういったケースがありました。この校長がとった対応がWikipediaに紹介されているということは、当時それなりにメディアでも報道されてその対応の是非が問われたと予想できます。
それはつまり、この対応がそれほど全国的に珍しいものであったことの裏返しでもあります。
義務教育での原級措置(留年)は形骸化している
現状の日本では、本人が強く希望をしない限り義務教育で留年することはありません。また、本人とその保護者が希望しても学校側が拒否することもあります。
そのため、小学校の卒業に関して不登校であろうがなかろうが卒業は可能であると言えます。ただ、その点はクリア出来ても、中学校進学後のことはまた別の問題です。
小学校で不登校、中学校進学後は…
小学校6年生の不登校児童の人数と中学1年生の人数を比較すると、このタイミングで大幅に増えています。
小学校で不登校であった子供が中学校で学校復帰をしても、多くの場合不登校を繰り返すケースが多いようです。
中1ギャップという言葉があるように、小学校と中学校では環境の変化が大きく、一般の生徒であっても環境の変化によって不登校になるケースが多いのがこのタイミングです。
そのため、小学校で不登校だった児童が中学校に入って学校復帰する場合はかなり多くのことに配慮しないと難しい結果になりがち、という厳しい現実があります。
中学校には配慮のお願いを、もし駄目なら他に適した場所を
当然、中学校に進学するタイミングで学校に不登校だったことと、その配慮のお願いをすると思います。
子供自身が学校復帰の意思を見せたのであれば、やはり大人はそれをサポートしてあげなければいけません。
また、学校に復帰しても5月以降、あるいは2学期以降に再び不登校となることもある程度視野に入れておいてもいいと思います。
そのときは本人が駄目だったことに酷く落ち込んでしまいますが、大きな進歩であったことをまずは褒めてあげましょう。
公立の中学校にもし通えなくなっても、他に本人に適した場所があるのであればそちらに通ってもいいと思います。
適応指導教室やフリースペース、フリースクールなどの不登校支援団体は数多くありますし、その地域にどんな支援先があるかを探してみるといいと思います。
私の持論に、学校は行くとそれなりにメリットがあるが必ずしも学校で無くてはならないとは思っていません。
本人が成長し、社会性を身につけて将来自立できるようになるのであれば、別に学校でなくても問題ないという考えです。
賛否両論はあるかと思いますが、それが本人にとっての幸せにつながるのであれば受け入れてもいいと思っています。
世間一般の常識と正論に振り回されて檻の中に閉じ込めて子供の幸せを奪うのとどっちがいいか、を考えれば正解は自ずと出てくるはずです。