高校生でも中学生でも、学校の存在意義や勉強の目的を見いだせずに無気力になっていく子供の姿をみて、心配しない親はいません。
酷い場合だと「高校を辞めたい」と言い出す場合もありますが、高校も卒業しないで将来どうするの!と言いたいのは親の本音ですし、何か目標を持って意欲的な毎日を過ごしてほしいものです。
無気力というのは一件、何事にも欲がなくだらしがない印象を与える一方で、日常に対して目標や面白味を見いだせていない状況ゆえに起こる現象とも言えます。
私自身も学生の頃に無気力な毎日を過ごしたことがあり、中学生~高校生年代でよく見られる無気力型不登校の原因と対策について考えてみます。
無気力型不登校に陥る中学生や高校生の真の原因はどこにある?対応策はまずそこから
無気力というのは一時的であれ長期的であれ年齢を問わず誰にでも起こり得るものです。中高生の場合は変わり映えのない日常への退屈、その先にある将来に対する希望が見いだせないのが大きな原因でしょう。
今の学校生活でつまらないことや人間関係のトラブルなど様々な背景はあるでしょう。しかし一番の問題はそれら日常の困難を乗り越えようとする意味が見いだせないことです。
その苦労を乗り越えた先に得られるものが自分にとって何になるのか?が全く見えていない、これが無気力な不登校の真相ではないでしょうか。
高校を中退した私が感じた高校生活への違和感
偉そうなことを書いていますが、私も高校に通っていた時、ある意味無気力な状態に陥りました。そのときは、この変化のない日々、毎週、毎日決められた時間割をこなすだけの日々。
ただ決まった時間に学校に行って、椅子に座って授業を受けて、ただひたすらに時間が過ぎ去るのを待つだけ。その退屈で意味を見いだせない時間をただただやり過ごし、今日も、明日も、あさっても、来週も来月も、来年も同じような毎日。
一体こんな生活に何の意味があるのか、さっぱりわかりませんでした。そりゃあ「高卒」という略歴と履歴書に書けるその文字のためだけに通っているんですけど、それ以外に意味という意味が見いだせない。
こういう目標もなく、張り合いもない高校での生活が続くと、自分の人生において今の生活がどんな意味があるのかも分からなくなってきます。
ツマラナイなぁと思う日々が長く続くと、高校を辞めたいと思うようになるのも、ある意味で自然なのかな、と。
無気力な高校生の究極の本音は「何か面白いことないかなぁ」
皆一様に同じとは言えませんが、少なくとも当時の私は「何か面白いことないかなぁー」と毎日考えていました。変わり映えのしない毎日を変える、何か面白いこと。
中高生だったら、部活に入ったり、スポーツをしたり、勉強をしたり、学校の中でも外でもいいから、何でもいいんで毎日を生きる目標があるだけで、とても幸せだと思います。でも、みんながみんな、そんな目標を持てる訳じゃありません。
無気力というのは、中高生という多感でエネルギッシュな年頃に、有り余るエネルギーを持て余し続けた結果、引き起こすものなんです。エネルギーを持て余した結果、無気力型の不登校になるなんて、なんとも皮肉な結果です。
大抵の中高生は、結局何をしたらいいかわからないのでゲームやネット、漫画という身近にある娯楽に癒やしを求めます。本音では、毎日、全身全霊をかけて、一生懸命に、自分のエネルギーをぶつける何かが欲しい。でも、見つからない。
不登校ともなれば外出する機会も、人と話す機会も減る。狭い自宅の、自分の部屋で出来ることなんて限られてるんで、理想と現実のギャップにどんどん嫌気が差してきて、そのうちに「もう、何もかもどうでもいい」なんてことになってしまいます。
無気力からの無欲化に要注意!引きこもりの長期化の要因に
学校やその他日常生活での目標も意義も見いだせずに部屋に閉じこもっていると、引きこもりの様相を呈してきます。
「何か面白いことないかなぁ」と思えるうちはいいんですが、自分で何かの行動を起こそうとすらしなくなったり、「落ちぶれた自分に対する罪悪感、そんな自分を立て直したい」と思う気持ちすら失う。
ここまで無欲化すると、かなり厄介です。
無欲化に拍車がかかると、現状から抜け出そうとするエネルギーすら失うので、引きこもりや不登校も長期化する恐れがあります。
無気力高校生の不登校への対策
ここまで、無気力型の不登校について嫌なことばかり述べてきましたが、対処法について考えてみます。
学校がつまらない、面白くない、意味を見いだせない、学校に行っても仕方ないと思う中高生には、皆共通していることがあります。それは「学校の中に、自分らしくいられる自分の居場所がない」ことです。
居場所、というのは人間関係や目標を含めた広い観点からの居場所です。結局、学校が楽しくないのは、学校の中に自分が達成したいと思える目標もないし、楽しいと思える居場所もないからですよね。
だから、その居場所を見つける努力が出来れば良い。部活に入る、委員に入ってみる、勉強の目標を持つ…しかし、それで解決できれば苦労はしません。
学校の外でもいいから自分なりのエネルギーの発散場所が見つかると気力が湧いてくる
学校の中に居場所があれば一番ですが、それが駄目なら学校外でもいいと思います。趣味や習い事を始めてもいいし、思い切って一人旅に出してもいい。
私が親だったら、海外旅行に連れて行ったり、短期で留学に出したり、そんなことが無理なら国内でも旅行に行ったり、好きな歌手のライブに行かせたり、好きなスポーツの試合を見に行ったり、何かの変化を子供に与えると思います。
とにかく無気力な高校生は見た目とは打って変わって、実は「外に出ようとするエネルギーの発散場所を探し求めている」ことが多いです。何かに挑戦したり、目標がほしいけど見つからない。
無気力な子供に必要なのは、刺激です。だから親も子供の無気力を責めず、子供が反応しそうな刺激をあえて、与えてみるというのもありだと思います。1人で泊りがけでどこか遠い親戚のところに行かせたり、子供が喜びそうな刺激を探してみましょう。
とにかく色んな所にアンテナを張って、少しでも面白そうだと思えば足を動かして行動してみること。親もそれを常識の範囲内で、認めてあげてください。無気力というのは自分の持っている世界観に限界がある証拠なので、見方を変えればその世界観を広げる大チャンスです。
「立ち直りの契機に?注目を集める中学生高校生の海外留学」でも書いたように、私は中学2年の時に短期での海外留学に行き、それこそかけがえのない貴重な体験をしました。
当時の私にとっては海外に出て広い世界を知ることが良い刺激となりましたが、あなたのお子さんにはどんな刺激を与えると良さそうでしょうか。
無欲化に近い状態になったらどう対応し、どう対策すべきか
「このままではいけない、なんとかしなければ」という気持ちが本人にあれば、時間がかかってもしっかり不登校や引きこもりは解決できます。
しかし、この「人としての正義感と芯」が完全に折れてしまった状態(=無欲化)になると、解決に時間がかかってしまう。
そうなる前に、親も家族も、本人も、欲張りに刺激を求めましょう。
「「中学・高校で不登校、子供の将来が不安だ」という親御さんへ」の記事では、無欲化させないためにどうすればいいか、という趣旨で記事を書いたのですが、その正義感を呼び起こすのにもこの内容は有効だと思います。
結局は親の愛情と本人の責任感
自分のことを大切だと思ってくれていて、信じてくれて、何があっても自分の味方でいてくれる存在がいたとしましょう。
人間というのは、こういう人たちを裏切り続けるのには大変な苦痛と罪悪感を感じる生き物です。
子供が引きこもって心配で仕方がなくても、植物に毎日水をやるように、子どもを信じて愛情を注ぎ続けましょう。そして、子供に必要と思うのなら、ちょっと強めの刺激も与えてみましょう。
傍から見れば無気力に見える子供でも、心のなかには力強いエネルギーが渦巻いていますから、それを上手く開放してあげれば、人が変わったように動き出すかもしれません。