不登校の子供を持つ家庭では必ずしも両親が揃っているとは限りません。母親一人で子供の面倒を見ているという家庭も多いでしょう。
夫と妻が離婚して母子家庭になった場合や、死別した場合、あるいは離婚はしていないが夫が単身赴任で自宅にいない場合もあります。
いずれにせよ、母親一人の家庭環境で不登校の子供がいる場合の対処法や対応などを考えてみます。
母子家庭で母親は昼間は仕事…不登校の子供にはどんな対応をすべき?
家庭内における父親と母親にはそれぞれに役割があります。
小難しい社会学の分野では、「母親は無償の優しさと愛情を与える役割」があり、「父親は社会的な厳しさを教える役割」があると言われています。
まぁ、俗にいう母性と父性という言葉のイメージ通りといったところですね。
ただ、不登校になってしまったのが母子家庭という環境下が原因とは思わないでいいでしょう。
なぜなら、母子家庭ならその子供が必ず不登校になるとは限らないからです。不登校になる子もいれば、ならない子もいます。
つまり、最も大切な前提となるのは「母子家庭と不登校という因果関係はこの際一切考えず、母子家庭という環境下で不登校の子供がいる場合にどうすべきかを考えるほうが大切」ということ。
実家の助けが借りられるならベストだが、負担になるケースも
さて、ここから具体的な話に入っていきます。実家が近くにある場合や両親と同居している場合はその助けを借りるのが最も現実的です。
日中に自分が仕事に出ていても安心ですし、子供にとって祖父母が心の拠り所になったという話はよく聞きます。
ただ、両親の考え方と母親の考え方が一致しない場合は気苦労します。
最初は「休ませればいい」と寛容だったのに、子供が学校に行けない期間が長くなるにつれて「いつまで学校に行かせないんだ」と文句を言われたケースは聞いたことがあります。
こういうケースもありますから、ある程度母親の考えと子供の事情も合わせて実家の両親とすり合わせておいた方がいいでしょう。
うまくいけば最良の味方になってくれますが、一歩間違えば負担の種になるのが難しいところです。
日中に母親が仕事で不在の場合
実家の助けが借りられない場合は、日中は子供を家に残して仕事に行かねばなりません。
家庭教師や個人塾など学力面での支援を受けることは出来ますが、やはり金銭的な負担もあるのでどこの家庭でもできるとは限りません。
子供の不登校の段階や状態によりますが、不登校の初期の混乱が少し落ち着き、学校には行きたがらないし話すら嫌がっていても、暇を持て余している状態であれば適応指導教室やフリースクール、フリースペースといった外部支援に頼むのもいいと思います。
是非選択肢に入れてほしい外部支援
子供が小学生か、低学年か高学年か、中学生、高校生かによって変わりますが、適応指導教室やフリースクールを有効的に活用すると面倒も見てくれるし、学力面の支援もあるし、不登校の親の会で親の悩み相談にも乗ってくれたりもします。
自宅近くにあるかどうかと送り迎え(一人で通えるかどうか)も大きな問題ですが、母親1人で悩み苦しむ必要はありません。
子供のためでもありますが、母親の為にも外部支援は受けられる環境にあるのであれば、思い切って積極的に活用してほしいと思います。
家事や家の事を頼んでおくのもいい
仕事に忙しい母親であれば、それを逆手にとって家事や食事の用意などいろんなことを手伝わせてみるのもいいと思います。
もちろん、最初はなかなか乗り気でやってくれないと思いますが。
ただ、ほんの小さなことでも何かやってくれればきちんと「ありがとう」と伝えてください。
洗濯物を入れてくれた、食器を洗ってくれた、掃除をしてくれた、でもなんでもいいです。
「●●をしてくれて凄く嬉しい」という喜びの気持ちと感謝を伝えるのが良い、というのは不登校関連の書籍で何度も目にしてきた、経験者や現場で支援してきた人間たちの総意のようです。
子供は不登校で自信を失っていますし、自分を否定したい気持ちでいっぱいです。
小さなことでも自分の存在が認められるということは、とても重要な事。
子供なりの自己肯定感を強め、自分が存在してもいいという安ど感、自宅は自分にとって安全な場所という安らぎはその後の変化にジワジワながら大きく貢献してきます。
母子家庭での不登校で心配なのは子供の変化を感じ取れるかどうか
母子家庭で注意してほしいのは、母親が一人ですべて抱え込んで悩んでしまうという点。
そして、不登校の子供の変化を見逃せずに感じ取れるかどうか、です。
不登校には段階があって、人によって多少の違いはありますが初期~安定期、葛藤期、活動期など色々な変化があります。
その時々で特徴めいた行動があるので、その変化に合わせて親が効果的に関わっていくと子供も変化していきます。
〔参考記事〕
日中は仕事でいなかったり、仕事が忙しく夜帰るのが遅い、週6で仕事に行くなど子供と接する時間が取れないとなかなかその変化に気づきにくくなります。
だからと言って仕事を辞めろとは言えませんが、こういった変化が解決への糸口になってきます。子供の変かには敏感に、かつ注意深く観察しておいてほしいと思います。