小学校1年生や2年生の不登校(登校拒否)、さらに下って幼稚園児の登園拒否といった低年齢化も昨今の不登校の特徴の一つです。
この低年齢における不登校の実態の多くが、母子分離不安にあると言われています。
※ただ、全ての子供の不登校の原因がここにあるわけでは、当然ありません。小学校低学年であれば、クラスメイトとの関係構築が上手く行かなかったり、先生との関係が上手くいかないケースも有ると思います。
学校という社会空間が怖くて仕方がない、母親が居ない学校への恐怖感からの不登校もあり得ます。
ただ、今回は此の年代における不登校(登園拒否)の原因の一つとして考えられる「愛情面に特化した母子分離不安」に限って焦点あててみたいと思います。
小学校1年生の不登校と幼稚園児の登園拒否の原因?家庭での親子関係に母子分離不安の特徴
母子分離不安という言葉、普段はほとんど耳にすることのない言葉ですが、教育に熱心な方は聞いたことがあるかもしれません。
母子分離不安とは、読んで時のごとく、母親の側から子供が分離、すなわち離れることに強い不安を感じることを言います。
幼稚園でも小学校でも、毎朝の登校(登園)時間になると行き渋りを見せ始め、時に先生が無理やり引き離しす場合も見られます。
大抵の場合、一度幼稚園なり学校に行ってしまえばすぐに泣き止んで回りのお友達とそれなりに楽しく過ごしているようなので、問題はなさそうです。
しかし、毎朝の行き渋りは激しい日もあり、母親も毎日の時間との闘いと子どもとのバトルで消耗しがち…。
そして何より、泣いて泣いて抵抗する子供を力づくで離すのも不憫で仕方ない。それが母親の本音かもしれません。
小学校の登校拒否では、体調不良を訴えるケースが多いようです。
泣いて激しく抵抗するというよりは、玄関先でうずくまって動けなくなったり、とにかく母親に学校へ行く不安を訴えたりします。
この年令の子供は大人の言うことにまだ従順で、学校という神聖な場所の持つ厳かさに一種の恐れを抱いています。
この何が何でも学校に行かないといけないという現実と、学校へ行く不安が心のなかで葛藤しぶつかり、その結果心身症という形で体調不良に現れていることも多いです。
つい悪気なく口にしてしまう、何気ない子供を突き放す言葉
小学校や幼稚園に上がると、母親も子供への手が離れて少し安心します。
特に母親が仕事をしている場合は、「もう幼稚園生(小学生)になったし、色んな事は自分でやろうね」と一種の突き放しに近い発言も多く見られます。
子供が甘えたいという感情を上手く表現できずグズってしまっても、忙しい母親は感情的に叱りがちです。
最初は気長に対応しようとするものの、グズりが長引いてくるとつい「いい加減にしなさい!!!」と堪忍袋の緒が切れたように、ヒートアップすることもあるでしょう。
子供は新しい環境に適応するために色々なストレスを抱えていますし、多少慣れてきた時期でも母親と離れーるストレスは誰にでも起こりえます。
そういった不安と自分なりの責任を戦わせ、健気に母親の期待に応えようとしています。
でも心の本音では母親から甘えたい気持ちがあるけど、でも母親から突き放されてしまって、余計にやり場のない不安な気持ちを増大させているという訳です。
つまり、そういった心の葛藤の末に「学校、もしくは幼稚園に行ってしまうと、母親との物理的、心的、両方の距離を今よりさらに広げてしまうのではないか」という子供なりの不安に駆られてしまっているということ。
大好きなお母さんがどんどん自分から離れていくのが、子供にとって不安で不安で仕方ない状態と言えるかもしれません。
理想的な対応は子供の求めに応じて愛情を注ぐこと
こういう状態での母親の対応としては、時間的な長短によって子どもとの関わりを図るのではなく、たとえ短時間であったとしてもできるだけ密度の濃い、濃度の高い時間を子どもと共有することが大切です。
仕事を辞めるかどうかとか、子供と遊ぶ時間をいかに増やすかよりも、子供の話に耳を傾け、受け入れてあげ、そして子供の感情を一切の否定なくそのまま共感してあげることによって子供の心は順調に育っていきます。
子供が求めた時にしっかり対応してあげると、子供なりに満足する時間が過ごせれば、おのずと自分の世界、すなわり小学校や幼稚園に安心して戻っていきます。
結局、自分が大きくなっていくことで母親が離れていくのではないかという強い不安が大きいだけで、母親からの愛情が自分なりに確認できればこれまでの不登校(登校拒否・登園拒否)が嘘のように治ると言います。
長期的に登校拒否・登園拒否に改善が見られない場合
逆に、行き渋りが始まってからなかなか治らず、日に日に抵抗が激しくなったりすると子供なりの愛情確認ができていないのかもしれません。
あるいは、幼稚園や学校という空間に、子供なりの恐怖、恐れの対象がある可能性もあります。
もし母親の愛情をしっかり注いでみても、結局時間がどれだけ経過したところで余計に甘えたり、行き渋りが治らないのであれば、当記事前半に記したような他の原因(何らかの恐怖心)も視野に入れたほうがいいかもしれません。