フリースクールに通えば少しでも高校受験を有利に進められるかもしれない。そう言われると不登校の子を持つ親も、色んな考えが巡ると思います。
学校に行けていなくても出席日数になるのであれば、せめて学校に行けなくてもフリースクールに行って欲しいというのが親の本音だと思います。
フリースクールに通った経験は私にはありませんが、ただ不登校経験者として思うことはもっと別なところに本当の利点があるんじゃないか、ということです。
フリースクールと高校受験の利点は出席日数?
フリースクールの出席扱いは全てのフリースクールで適用されるわけではありません。
別の記事でも書いてある通り、全体の約4割り程度しか適応されず、適応指導教室の出席扱いも約8割です。
どうせなら出席扱いのところに、というのが本音かもしれませんが、出席扱いさえされていれば高校受験を物凄く有利に進められるかというと、そういう訳でもありません。
定期考査を受けていなければ内申書に書くことがないのも事実
出席日数は高校受験において重視される重要ポイントには違いありません。
ただそれと同様に高校受験には内申書というものもあって、その内容が受験結果に大きく左右します。
内申書は通常、学校で行われる中間テストや期末テストなどの定期考査の結果を元に書かれます。
したがって、定期考査を全く受けていなければ内申書に書くことが物理的になにもないので、出席日数だけ稼いでいても内申書を大きく有利に進めるという訳にもいかなくなります。
ただ、備考などの欄に、不登校で学校に行けていない間にもフリースクールにかよっていた事実やそこでの活動内容を記すことは出来るかもしれませんが、それはフリースクールと学校がきちんと連携できていないと難しいでしょう。
中学校の不登校から高校受験という側面からだけで考えれば、普段はフリースクールに通って、定期試験のときは保健室でもいいのできちんと試験を受けていれば多少なりとも内申書に書くことも増えるので、(内申書を少しでも有利に、という側面だけで見れば)があるならば定期試験を出来る範囲で受験したほうがいいです。
フリースクールの利点は目先の損得ではなく主体性とやる気
ここまでは一般的によく言われる出席日数や内申書について記してきました。
ただ、ここでいう高校受験に対する利点というと、どうしても目先の利益ばかりに目が行きがちです。
しかし、不登校の子供がフリースクールに通って立ち直ることの利点は、高校受験だけでないもっと長期的な視野にたって初めて見えてくるものだと思います。
不登校の子供はどうしても学校に行けていない自分を責め、自分に対する自信を失いがちです。
さらに言えば、生きる楽しみも、喜びも、目標も見失って生きる意味すら何なのかわからなくなっています。
フリースクールで自分の居場所を見つけ、生きる歓びや楽しみを見つけた先にあるのは、主体的に自分の人生を切り開こうとする姿勢です。
自分は将来何をしたいのか、そのために何を勉強したいのかという自分から求める勉強や姿勢を身につけ始めます。
→ 例え中学3年間、高校で不登校で不安?将来はニートばかりじゃない
主体性という武器は困難を乗り越えようとするエネルギーになる
高校受験という目先のことではあまり有利にならないと言われるかもしれませんが、こういった自分で考えて自分なりに道を切り開いて、主体的に人生を楽しもうとする姿勢は人生においてかけがえのない、大切なモノです。
高校受験云々ではなく、一人の人間として世の中を生きるためにはこういった姿勢は大切なモノですから、ほんとうの意味でのフリースクールの利点はここあると個人的には思っています。
この姿勢があって、初めて主体的に高校を選んで、自分の行きたい高校を真剣に考えようとします。
あれをやりたい、これをやりたい、そのためにこんなことをしたい、という欲は生きるエネルギーになります。そして人生をより充実させより楽しい物にさせてくれます。
ただただ惰性で高校に行かなきゃいけないから仕方なく行っても、すぐにドロップアウトしてしまうかもしれません。
親が勝手に希望した行きたくもない高校にただなんとなく通わせて、つまらなさそうにする子供と、子供本人が希望して受験した高校で楽しそうに笑顔で過ごす子どもと、どちらがいいかは明白です。(ここで前者を選んでしまう親は、言い方は悪いですがそんな考えだから子供を苦しませているのでしょう)
この主体的な姿勢こそが困難を乗り越えようとする何よりのエネルギーになるので、長期的に見ればこういう主体性を身につけることのほうが、フリースクールに通う利点として大きいというのが私の考えです。