当サイトでは何度か述べていますが、不登校の当事者は子供だけではありません。親も、その当事者です。
今現在子供が不登校で学校に行けていないと、その将来が不安で不安で仕方ないと思います。二十歳を超えて大人になってもニートのまま、ひきこもりのままだなんて想像するだけで意識が遠のくでしょう。
しかし、不登校の過去がある人間はこの世の中に腐るほどいます。そして、過去そういう経験があった人たちでも今は立派に社会で働き、自立して暮らしている人も当然、山のように居ます。
どちらを選ぶか、どちらに進むかは親を含めた当事者の決定にゆだねられます。では、不安な将来を明るいものにする為に、当事者はどのようなことを意識すべきでしょうか。
不登校の最悪の行きつく先は引きこもりニート、そして中年引きこもり?
ここで目をそむきたくなる現実を直視しなければいけません。
よく中年の引きこもりや若年層のニートの半数以上が過去に不登校を経験しているといいます。(※出典により誤差はあります)
この事実をどう受け止めるかは各自によって違いますが、不登校を放置して時間だけが経過してしまえば、二十歳前後でも仕事にも学校にも行けないニートになり、さらに時間が経過すれば三十歳、四十歳になっても中年の引きこもりを招いてしまいます。
このような状態になっても家族や本人が満足して幸せに暮らしていけるのであればともかく、大半の場合は親はそうではないでしょう。
親はいつまで元気でいるかもわからず、経済的・精神的負担が大きいはずですから、可能であるならばこの状態は避けたいのが本音のはずです。
2015年4月に奈良県で起きた親子無理心中事件では、定職に就かなかった46歳の無職の長男に対し、母親がその将来を悲観して息子を殺害し、自らも自殺するという痛ましい事件が起きました。
⇒ 定職につかない46歳息子の将来悲観…無理心中の母親を書類送検 奈良県警
この長男に不登校の過去があったかはわかりませんが、不登校や引きこもり問題に直面している家庭が招く最悪のケースと言えます。
明るい将来に導くか、暗い将来に導くかの境目は親の接し方次第
重要なポイントを言いますが、未来は自分たちで変えられます。
不登校やひきこもりの解決は、学校に戻れば万事解決という訳ではありません。一人の人間として目指すべき最終地点は、経済的・精神的に自立することです。
そのために学力を見につけ、年齢相応の他者との関わり合いとコミュニケーションを学ぶ必要があります。
不登校や引きこもりに悩んでいる子供は心の中で「このままではいけない」、「この状況を何とかしたい」と切に願っています。
そして、そのために何か行動を起こす必要性を感じていながら、行動に移せないでいます。
各自いろいろな事情がある中で何をどうしたらいいのかわからないからです。
当事者の親がすべきことは、この子供が持っている「なんとかしたい」という心情を上手に育んでいくことと。
タイミングに合わせてどう動けばいいかをアドバイスし、助けてあげることです。
子供の「芯」が折れないように援助することが見守ることの本質であって、何もせずに放置することが見守るという意味ではありません。
明るい未来を手に入れた例と手に入れられなかった例
このような親子関係をきちんと築いてきた場合、例え中学3年間不登校で将来が不安でも、高校を中退しても、何年後かには社会人として立派に復帰しています。
今まで全く勉強なんて興味のなかった子が大学に進んだり、自分のやりたいことを見つけて専門学校に進んだり、中には全国的にも難関レベルにある入試を突破して有名大学に進学する子もたくさんいます。
自分の経験を活かして、教育現場で働きたいという夢を果たした人もたくさんいます。
「学校へ行けない僕と9人の先生」という漫画の著者は小学校低学年からの不登校経験者ですが、今では漫画の世界で立派に生きて暮らしています。
逆にこの子供の「芯」が折れてしまった場合、「なんとかしたい」という意欲すらなくなってしまいます。
つまり、今の状況に甘んじて状況を変えようとすらしなくなり、その果てにあるのは中年のひきこもりです。
無欲化してしまうと状況は変えられなくなりますから、やはり当事者の一人である親の役割は大きいと言えます。