不登校の中学生の代表的な高校進路についてまとめました。
今までに中学で不登校だった人がどういう高校進路を取ってきたのか、そもそもどういう高校の種別があるのか、不登校の生徒にとって魅力的な高校進路はどこなのか?を客観的に、整理しました。
不登校の状況は色々あるかと思いますが、多くの場合、学力面、出席日数、内申書でもハンデが大きく贅沢に高校を選べる立場ではないという方が多いと思います。
そういう方を対象に、「まずどんな高校の選択肢があり、どんな仕組みの高校なのかを整理しながら、個別の高校選びに役立ててほしい」というのがこの記事の役割です。
不登校の中学生の高校進路について
不登校の中学生が考えられる高校進路を以下の通り。大抵の不登校生徒は、この中のどれかの進路を取っています。
- 全日制高校〈公立・私立〉
- 通信制高校
- 定時制高校
- その他
- 高等専修学校
- 技能連携校
- 高卒認定試験
全日制、通信制、定時制の3つのうちどれかを選ぶ人が大半です。
「その他」の進路はメジャーではないものの、日本では一応こういう進路を取ることも出来るという点で3つほど紹介しました。高等専修学校と技能連携校は専門分野を学べる学校です。
また、中卒での就職、フリーターも将来的な見通しが良好ではないことは明らかという理由で省きました。
以上のことから、不登校からの高校進路は(合格できるかどうかは置いておいて)全日制、通信制、定時制の3つが中心と考えて良いです。各学校について、不登校からの進路という観点からもう少し詳しく見ていきます。
不登校の中学生の進路:全日制高校
全日制高校は平日、朝から夕方まで授業がある、いわゆる普通の高校です。不登校生徒が受験する場合は私立、公立含めて不登校に寛容な高校を探す必要があるし、まして入学後のことも考慮すべきです。
今は全日制に行きたい(行かせたい)という気持ちが強いでしょうし、不登校からでも入れる高校、入試のことが頭が一杯かと思います。しかし、「全日制に入ること」が目的になってしまってはダメです。
入学後のことを考慮せずに高校を選ぶと、結果として入学後に大変苦労することになるので(経験談)、入試の面だけでなく子ども本人がその高校への進学を本当に希望しているのか、校風は自分似合うのかどうかも含めての進路選びが必要となります。
不登校の中学生の進路:通信制高校
不登校生徒にとっての最大の受け皿となっているのが通信制高校です。
通信制高校に通う生徒のうち約6割は不登校経験者で、さらに入学後に「学校生活が楽しい」と答えた生徒は約80%。不登校経験者の多くが通信制高校で社会的に立ち直り、人との関わりを持てるようになったという統計も出ています※1。
通信制高校の単位制という大学のような自由の幅が大きいシステム、不登校生徒の受け入れに積極的な学校態勢は、不登校の生徒、あるいは起立性調節障害の生徒と非常に相性が良いです。
通信制高校の多くは入試も簡易で、落ちることは稀です。学費も就学支援金が適用されるので思った以上に安く済みます。
不登校の状況(出席日数、学力、内申など)に不安要素が強ければ強い生徒ほど、通信制高校は心強い進路候補になるはずです。
※1 2008年12月に私立通信制高校生459名を対象に行われた「通信制高校の生徒・保護者アンケート調査」、「通信制高校があるじゃん!2014-2015版」P66より
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不登校の中学生の進路:定時制高校
定時制高校の授業時間は午前、昼間、夜間の3つの時間帯で行われていて、どの時間帯に授業があるかは高校によって違い、生徒自身がそれを選択できます。1日あたり50分×4時間の授業を受けるのが基本型。
全日制と違うのは授業時間だけで、定時制も平日は毎日授業があるし、出席も重視されるので単位を落とすと留年する点に要注意です。以前は卒業までに4年必要でしたが、1日の授業時間を増やせば3年で卒業することも出来ます(ただし4年制の学校も一部あり)。
定時制高校で気になるのは、生徒の質です。ヤンキー、ギャル、真面目で大人しい生徒、年配者、社会人などクラスの面々がバラバラで、お世辞にも行儀の良い人ばかりではありません。不登校の生徒にとってはそういう雰囲気に馴染みにくいのが心配といえば心配ですね。
あと、授業時間が夕方~の夜間だと帰りの時間も遅くなるし、高校生の女子生徒を通わすのは親としても不安が大きいのも気がかり。定時制を検討する場合は実際に見学に行って、自宅からの通学時間も含め、学校の雰囲気をしっかり掴んでおくことをオススメします。
不登校の中学生の進路:その他
メジャーな進路先ではないのですが、一応こういう進路もあるよ、という意味で3つほど紹介しておきます。
高等専修学校は高校版の専門学校。総授業時間の6~7割は専門分野の勉強です。1年制、2年制、3年制があり、3年制の学校を卒業すれば大学入学資格も得られます。分野は医療、工業、農業、衛生、教育、福祉、商業実務など様々。
〔参考〕 日本の専修学校一覧-wikipedia
技能連携校も専門分野を学べる学校ですが、通信制高校と同時に通う事ができ専門分野の授業を通信制高校での単位として認定して貰えるのが特徴。普通科目は通信制高校で、専門分野は技能連携校で行い、2つの学校に通います。
〔参考〕 技能連携校一覧-wikipedia
高卒認定試験は大学入学資格を得られる資格試験。ただし中学卒業後に高卒認定試験を進路として取る人は非常に少なく、主に高校中退者だとか、18歳以上の大学や専門学校などの進学を見据えた人が多いです。
大学や専門学校に進学できるのは4月1日時点で18歳になっている人だけなので、中学卒業後に高卒認定試験を取得したとしても、飛び級で大学や専門学校に進学することは出来ません。
〔参考〕 高卒認定試験とはどんな資格?受験資格や概要について
不登校からの進路情報の探し方について
特定の専門分野の勉強に強い関心がある人は高等専修学校、技能連携校を含めて進路を検討しましょう。逆に専門分野の勉強に興味がなければ、全日制、定時制、通信制の3つを中心に情報を集めていくと良いと思います。
特に通信制高校は不登校経験者にとっての最大の受け皿となっていますし、確かに仕組み上も不登校生徒と相性が良いのは事実です。
だから最初はイメージ先行で決めつけず、通信制高校も含めて検討してみるといいよ、と言うのが経験者である私からのアドバイスです。
子供自身が自分の目で見て、子どもがどう感じるかが最も重要なことですから、実際に検討してみてダメならダメだったでそれで良いんです。
実際に見学に行ってみてイメージが変わることも頻繁にあるので、後悔のない進路選びをするには、最初から通信制は嫌、定時制はダメなど、決めつけは辞めた方がいいかなぁと思います。
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